スレイブとは
スレイブは、約半世紀ほど前に登場した魔法生命体です。
そして冒険者たちにとって最も身近なパートナーです。
スレイブの本来の役目は、主人の世話をする事であり、戦闘に関連する機能ももともと主人の安全を守るための機能でした。
現在、中流以上の生活をしている男女は、そのほとんどがスレイブと生活しています。
外見は人類の女性に良く似せて(外見は諸タイプによって異なります)作られています。
スレイブが登場して半世紀、市民の間に定着して20年、スレイブなしでの市民生活は考えられない状態になっています。
良く間違われることですが、スレイブはゴーレムなどとは全く違った存在です。
ゴーレムは魔法で作った器に疑似的な魂を入れたロボットですが、スレイブは人工的に作られたスレイブというタイプの生命体です。
彼女たちは、どうやって作られているかは謎に包まれていますが、人と同じく呼吸し温もりもあり、極めて人間に近い生命体と言えるでしょう。
登場したころは主に軍事面のみで使用されていましたが、後に一般でも使われるタイプが派生し、現在では都市人口の3割強がスレイブだと言われています。
ディナリウム市内で人間と混在しており、スレイブのいる風景はごく普通の街並みとなって久しいです。
スレイブの歴史
スレイブの誕生は、それ程古くない過去の出来事なのにも関わらず、謎に満ちています。
定説なくここで描かれる話も比較的可能性の高い通説にすぎません。
伝説的な魔法博士スローベインは、スレイブの生みの親とされる人物です。
この人物についてはディナリウム近郊の産まれであったことくらいしか分かっていません。
最初に作られたスレイブは、博士のお世話係として製作されたとされ、この最初の一大が後のスレイブの性能(方向性)に大きく影響を与えたとされています。
博士が死に、オリジナルスレイブが再発見されるにはかなりの時間がかかりましたが、ディナリウムの魔法学者たち、この技術を短期間の間に修得し、爆発的な発展を見せました。
しかし、最初にスレイブが活躍するのは、主人の世話ではなく戦場でした。
スレイブの持つ魔石への抵抗力が買われ、非力ですが、戦闘の補佐としての役割を与えられたのでした。
これは、戦術的に大成功をおさめ、ディナリウムの快進撃の原動力となります。
ただ、あまりの一方的な殺戮に、多くのスレイブが心を壊してしまったともいいます。
時代が変わり、世の中がある程度安定してくると、戦場以外でのスレイブの活躍の場が増えてきます。
本来の主人の世話に専念できる時代がやってきたのです。
スレイブの基本的な機能は、スローベインが作ったオリジナルから実はあまり変更されていません。
これはスローベイン博士があまりに奇才であったため、スレイブの中枢の多くが今なおブラックボックスで在り、大幅な機能変更ができないからだともいわれています。
スローベインの黒い噂
オカルトの範疇を出ない噂として、スローベインの孫娘の失踪の話があります。
最初に作られたスレイブの背格好は失踪した2人の孫娘そっくりだったと言います。
そして、名前もマニーとプルム、とまったく同じでした。
スレイブと市民
スレイブはここ20年ほどで、ディナリウムの市民生活に急速に浸透しました。
若者にとっては当たり前の存在ですが、普及前を知る年配者もまだ沢山います。
一般的なスレイブのいる日常では、時間に正確なスレイブ(正確でない性格のスレイブもいる)が、主人を起こすことから始まります。
食事の支度はすでにできており、綺麗に選択された衣服が用意されています。
朝食はスレイブの給仕で滞りなく行われ(滞ってしまう性格の者もいますが)職場や学校へと出かけていきます。
職場や学校でもスレイブは常に身近にいて、細々とした世話を行いますが、仕事自体を引き受けたりは決してません。
スレイブの仕事はあくまで主人の補佐で在り、お世話なのです。
こうやって一日中主人の世話をしたあと、夜遅くまで家事などをこなします。
スレイブに睡眠が必要かについての議論は昔からありますが、人間と同じ程度休ませないと機能に支障が出ることが分かっています。
彼女達も生き物であることを忘れてはいけません。
スレイブと産業
最初のスレイブが人のお世話を目的に作られたためか、スレイブが労働力として使用されるという話はあまり聞きません。
実は、人の世話をすることと、戦闘で主人を補佐すること以外の仕事は、スレイブはあまり得意ではないことが分かっています。
個人の特性として、家庭菜園や日曜大工を得意とするスレイブもいないわけではありませんが、どれも趣味の域を超えることはありません。
ただし、接客などに関しては、本来の機能で応用が利くらしく、小規模な飲食店などでは主人に代わって接客を担当するスレイブの姿をよく見かけます。
スレイブの損傷や破損
スレイブには自己修復機能がありますので、多少の傷は自分で直してしまいます。
しかし、手足を失うほどの損傷した場合は「アンダーテイカー」と呼ばれる組織に治療を依頼することになります。
アンダーテイカーは政府公認の組織で大抵は無料で修理を請け負ってくれます。
損傷が大きすぎて、修復が不可能だった場合、死亡として扱われ、アンダーテイカーによってスレイブは回収されます。
持ち主の消失
何らかの理由でスレイブの持ち主がいなくなった場合、生命反応が確認できなくなってから数分から数十分で自動停止します。
スレイブが回収可能な状態である場合、アンダーテイカーによって回収されます。
回収されたスレイブがその後どうなるかはハッキリしていません。
一般的には、アンダーテイカーによって、ディナリウム地下の「禁制区域」へ運ばれていると信じられています。
アンダーテイカー
政府直轄の組織で、スレイブのメンテナンスと死後の回収などを行っている組織です。
黒ずくめの格好で、一見葬儀社を思わせる雰囲気を称えています。
組織は全国に広がっており、大きめの町には必ず支社があります。
スレイブの基礎性能と活動範囲
スレイブは、普通の女の子程度の力しか持っていません。
力仕事や荷物運びには不向きです。
ただ、人よりはタフで、腕一本失ったくらいでは死んだりしません。(失血死はない、赤い体液の流出は少量で止まります)
低温高温にも人間よりは耐えられます。
少量水分の補給は必要としますが、食事は必要ではありません。(無補給でも数か月はもちます)
(人間と同じものを食べることは可能です。ただ栄養として取り込むことはありません)
スレイブの行動範囲は、非常に特殊な範囲になります。
まず、主人が保有する家屋や土地の中では、かなり広い範囲でも移動することができます。
これは広いお屋敷の中などで、活動することを想定しての事なのか、わかりませんが、自由に行動することが可能です。
しかし、一般の町や郊外、冒険の舞台のダンジョンなどでは、主人から10mも離れることができません。
主人から離れてしまったスレイブは、数分から数十分で機能が一時停止し休眠状態(寝てしまいます)になります。
なので、スレイブ単独でのお買い物はかなり危険な行為です。
なお、主人との距離が回復すれば、即座に機能が回復します。
・生活スペースと仕事スペース
スレイブは基本的に主人のお世話をするための存在ですが、主人の客に対しても接待をする能力を有しています。
本来、主人の家に訪ねてきた客に対しての能力なのですが、接客業だけはグレーゾーンになっています。
店番やウエイトレス、ホテルの給仕など客をもてなす内容に関して、スレイブは活動することができます。
客室と食堂は、それが主人が経営する(または雇用されている)喫茶店や食堂であっても活動範囲です。
スレイブと戦闘
スレイブが普及する最初の原因は戦闘に使うためでしたが、基本的にはスレイブ自身が戦闘に参加するわけではありません。
スレイブ自身に戦闘能力はほとんどありませんので、戦闘中は主人をサポートするために横で控えています。
その状態で武器の命中を助け、回避を助け、攻撃の威力を増加させ、敵の動きを監視して、周囲を索敵して目の役割もします。
クラススキルの仕様もスレイブがいなければ発動しません。
スレイブが行動不能になると、主人のサポートができなくなるため、戦闘力がかなり落ちます。
主人もスレイブを危険にさらさないよう注意しつつ戦闘を進める必要があるでしょう。
・ジョブレゾナンスの時間
最短1時間程度から~、最長1日くらいになることが確認されています。
スレイブはMPを最低1点残して終了しますので通常は気絶することはありません。
6時間程度休息することで回復します。
・同化状態
スレイブは武器などに同化すると、その場から一時消えます。
同化が解除されると、主人の周囲の安全で邪魔にならない場所に出現します。
同化中武器は重くなったりはしません。
スレイブとの出会い
ディナリウムの市民は6歳からスレイブを保有する権利を持ちます。
最近では、生活に余裕がある家では親が最初のスレイブを6歳の誕生日にプレゼントするのが一般的です。
昔は家庭でプレゼントされていましたが最近では教会などの公共の場で誕生パーティーを行いつつ、
ちょっとしたセレモニーのなか、スレイブの機動が行われるケースが増えています。
庶民でも合同でパーティを行ってお祝いをするようになりました。
スレイブの五感
基本的には人間と同じ機能を有しています。
特に優れてはいませんが、主人が好きな味や香り、色や風景、音楽などには敏感です。
魔石感染への抵抗力
スレイブは魔石を取り扱っても感染することはありません。
その他の病気
きわめて高度な構造をもったスレイブですが、人間の病気には感染しません。
ただし、スレイブ特有の病気が希少ですが存在しているようです。
ごくたまに一見して風邪のような症状の病気にかかる事があります。
大人しく安静にしていればそのうち回復しますが、この「スレイブ風邪」の状態の間は、やや知的活動が低下しボーとしたり、不注意になったりします。
人間には感染しませんが、スレイブ同士では感染します。
また、重度のストレスがかかると、人間のように心が参ってしまう事もあります。
特殊魔法等の影響
スレイブは一般的に、石化、麻痺、チャーム、スリープ等への抵抗力は人間よりたかいです。
しかし、無効なわけではありませんので油断は禁物です。
一応、人間と同じ回復系魔法も有効ですが、効果は人間よりも薄くなります。(魔法全体に抵抗力が高いため)
包帯を巻く等の治療も、気休め程度の効果はあります。
しかし、自己回復能力を超える損傷や、異常があった場合はアンダーテイカーへ連絡し治療してもらう必要があります。
違法スレイブ
世界にはスレイブを改造して悪事に使おうとする人々がいます。
それほど多くはありませんが、社会の暗部では改造スレイブとはよく出会う事になります。
違法スレイブの改造強化
違法改造されたスレイブは主人への戦闘サポートの度合いが強化されているのが一般的です。
本来、主人の健康や生命にかかわるような、強化はスレイブは行いませんが、改造されたスレイブには歯止めはありません。
違法スレイブとの直接戦闘
違法スレイブであってもスレイブ自身が戦闘力を持つことは極めて稀です。
理由はスレイブ自身が基本的に強い存在ではないからです。
道徳心などを破壊する簡単な改造で、スレイブは人を傷つけるようになりますが、普通の女の子程度の戦闘力です。
魔法などで、強化することも可能ですが、あまり効率は良くなく(魔法への抵抗力のため)主人を強化したほうが効率的です。
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