大いなる大地に生を受けて(pnkjynp マスター) 【難易度:とても簡単】




プロローグ


●出発はいつもここから
 青い空が広がる。
 広がる大地はどこまでも続く。
 連なる山々には未だ未知の世界が眠っている……。

 ここはとある冒険者ギルド。
 しかしこの場所、夜には別な姿を見せるのだ。

「よぉ、来たか」
「なんだかんだ来ちゃうんだよね、何でかな?」
「いつもの場所空いてるぜ」
「ありがと」

 ギルドの主人に促されるまま、【月村 正継(つきむら まさつぐ)】は席に着く。

「取り敢えずいつもので」
「あいよ。アンジェリカ、料理頼む」
「分かりましたっ!」

 受付嬢がフライパンに火をかける。
 油の焼ける音を背景に彼は出された牛乳を口にした。
 別に未成年というわけではないが、酒はあまり得意ではないのだろう。
 短髪の黒髪がコップに合わせて小さく揺れる。

「にしてもこないだは散々食い散らかしやがって」
「ゴメンゴメン。でも新人さん達、皆楽しんでくれてたみたいだし。【これ】も向こうに渡さないで済んだから」

 そういう月村の手には、大きな石のようなものが握り締められていた。

「今度これの件でマルデの所に行ってみようかと思ってる。調査もしてだから少し期間は長くなっちゃうかもだけど……何かあった時は宜しくね」
「おい、冗談でも変なこと言うんじゃねぇ。お前のそのやさ顔でなくちゃ、ろくに愚痴もぶつけられないからな」
「分かってるよ。それに僕だって1人で行くわけじゃないからね」

 彼が隣に視線を送ると、スレイブである【ジョバンナ・アルシュフェルド】が姿を現す。
 人があまり得意ではない彼女は普段正継の盾に同化している事が多いのだが、この2人には別であった。

「大丈夫。私、絶対……正継守る」
「むぅ~……なんだか妬けちゃいますね。はい、アンジェリカ特製ナポリタンです!」
「ん、ありがとアンジェ。う~ん……特に焼けすぎた所は無さそうだけど?」
「もういいですっ。正継さん何か知りません!」

 彼の傍にじっと立ち続けるジョバンナとは対照的に、アンジェの赤いツインテールはプリプリと左右に揺れていた。
 そして材料を取ってくるとギルドの奥へ引っ込んでしまう。

「おいおい、勘弁してくれよ。 アイツへそ曲げたら長いんだぞ?」
「だってアンジェが心配するほど本当に焦げてないし……」
「はぁ……そんなんじゃお前の血筋は1000年後には滅亡してるぞ……」
「ん?」

 小首をかしげる正継は、紅く色づくその一皿に秘められた想いを美味しそうに飲み込んでいく。
 味は分かっても意味の伝わらない彼を見て、もどかしそうに頭を掻く主人とじっと見つめる彼のパートナー。
 彼らだけの静かな夜は、いつものように過ぎていく……


~~~


 そして夜が明け。

「行こうか、ジョバンナ」
「うん。出発、進行ー……」

 月村は今日も世界へ歩み出す。
 旅の先にいる誰かを救うため、信頼出来る相棒と共に。





 ※このエピソードの詳しい参加方法は下記解説に記載されていますが、上記プロローグでタイトル部分を含めて1125文字、8人参加の場合の基本的な最大文字数となります。
  頂いたプランは自由設定などを元に最大限描写致しますが、上記文量程度であることを考え、内容を絞って頂いた方が、お話に深みが出ると思います。
  また、今回のような完全内容フリーなエピソードの場合、基本的にはプランの文字数やプレイング差に基づく描写量差はつけずに9000字を均等割りする予定です(白紙などは除きます)。

  今回のプロローグを月村目線で書いた記載例はこのような形になります。
  かなりあっさり気味の記載にしてありますので、内容が浮かばなければこのくらいでも大丈夫です。
  勿論内容が具体的であればあるほど、PCが生き生きしてくると思います。
  皆様のプラン作成時の参考となれば幸いです。

  ・時 エピソード『ようこそ新世界へ、【初めて】の人探し』終了後
  ・場 冒険者ギルド
  ・誰 【GA:NPC】ギルドの主人、アンジェリカ
     (他PCと共通の思い出にする場合は、上記【GA:○○】表記をお願い致します)
  ・何 ギルドで静かにお話。近況報告や今後の活動など
  ・理 以前のエピソードを受けて旅立つ事を決めた為
  ・味 全体:糖分控えめ
     月村:明るいが冷静に。大人だけど柔らかい印象。お人よし。恋愛は疎い
     ジョバンナ:幼い口調、口数は少ない。月村との関係は主人と従者以上、恋人未満
     ギルド主人:気心の知れた感じ
     アンジェリカ:少し甘めに、愛称アンジェ


解説


 今回は各PCに焦点を当てる日常エピソードとなります。
 まずはこちらのテンプレートをご覧下さい。
 【・時
  ・場
  ・誰
  ・何
  ・理
  ・味     】

 今回参加される皆様には、こちらに沿ってプランを作成して頂きます。
 そのプランを参考に、記載された内容に応じてオリジナルショートストーリー(OSS)を作成します。
 ゲームの世界感上採用できないプランを除きまして、プラン採用の上ほぼアドリブの形になりますので予めご了承ください。

〇項目解説
  項目は詳細な程皆様のご想像に近いものに出来ると思います。
  分からない、埋められない場合は空白・自由形式記載でも構いません。

  ・時 OSSがいつ頃の出来事か、です。
     PCが生まれてから今回のリニューアルオープンまでの期間で好きな時をご指定下さい。
     ここまでゲーム内で描かれた時間軸は
     GP1・2回目≒GP連動エピソード⇒各種エピソード⇒大規模作戦≒【祭典】エピソード
     となっております(但し各エピソード内で時期が指定される場合を除く)。
     【6歳の頃】や【エピソード○○の後】、【変哲もない普通のある日】等の形でご記載下さい。

     ※以前参加されたエピソードにこのエピソードを関連させる場合、指定できるエピソードは1本までとさせて頂きます。
      他GM様の使用するNPCとの交流や、公開済みリザルトの結果を覆すような内容のものには出来ません。

  ・場 OSSの舞台となる場所、です。
     具体的な都市名でも良いですし、水の流れる場所など抽象的でも構いません。

  ・誰 OSSの参加者、です。
     基本的にPC本人とスレイブになりますが自分のNPC(PCの両親等)や私のNPC、このエピソードに一緒に参加しているPCであれば、共通の思い出として指定出来ます。
     
  ・何 OSSで何があったか、です。
     戦闘、捜索、ただの世間話、パーティー等々、出来事の種類をご記載下さい。

  ・理 OSSは何故起きたか、です。
     巻き込まれた、放っておけないなど、心情や行動の目的に近い部分です。


ゲームマスターより


※解説追記

  ・味 OSSがどういったお話なのか、です。
     喜怒哀楽や甘い、酸っぱい等、OSSの方向性をご記載下さい。※

 プロローグに興味を持って頂きありがとうございます。
 私のエピソードに関する注意点は個人ページにございますので、お手数ですがそちらをご覧下さい。

 エピソード無料期間延長! 相談(考える期間)が短い部分は申し訳ないのですが、この機会に是非、皆様のPCの設定や関係を深めてみませんか?
 
 ゲームのスタートがのとそらの後発という形だった事や、のとそらの大規模がつい先日リザルト公開され連動が盛んな事もあり現状幻カタは動きの鈍い部分があります。でも世界観的にはこちらが先! GM陣もやる気満々です!
 個人的には、今後こちらで出したエピソードの結果を受けたエピソードを、のとそらの方でも展開していこうと思いますのでそういった部分も楽しんで頂ければ幸いです。

 それでは、リザルトにてお会い出来る事を楽しみにしております。



大いなる大地に生を受けて エピソード情報
担当 pnkjynp GM 相談期間 4 日
ジャンル 日常 タイプ ショート 出発日 2017/10/27
難易度 とても簡単 報酬 なし 公開日 2017/11/6

Shades=Dawntonalite=douceur
 デモニック | メイジ | 32 歳 | 男性 
・時
20年程度前……PC(シェーズ)とスレイブ(トナリテ)が会った頃。
シェーズは、少なくとも10歳を越えた後なのは、間違いなし(細かい所は、おまかせ)

・場
スノーフォレストの、シェーズの生家

・誰
PC本人とスレイブ、PCの家族(細かい所は、おまかせします)

・何
シェーズとトナリテが会って、パートナーとなる

・理
最近、帝都の方で流行らしい……という事で、家族(NPC)が(そういう場を)用意してくれた

・味
とまどいとか、困惑?後は……珍しい事に関する、興味……的な

・その他
アドリヴ大歓迎
ステファニークラリス
 デモニック | メイジ | 20 歳 | 女性 
時:いつもの日常
場:ディヘナ自宅周辺(二階建ての自宅は1Fの一部を店舗にして魔術用の小物や、悪戯程度の魔法がかかるお菓子を売ってる)
誰:スレイブと二人きり
何:いつものように魔術の実験に没頭してたらクラリスが「そろそろ食料が無いので」と買い出しに連れ出された。
買い物も終わってカフェに入り、ほっこりとしながら過ごす。
理:無表情ながらもどこか楽しそうなクラリスを見て反省する。
最近ずっとクラリスに構って上げてなかった。
この娘はいつも私の事を気に掛けてくれてるのに。
この実験が一段落したら彼女の好きな植物園に連れてってあげよう。
もっと彼女の喜ぶ顔を見ていたい。
味:ふんわり甘い
ワイアット・R・ジェニアスクーサモラエスクワックェルクラントーム
 ヒューマン | シーフ | 52 歳 | 男性 
・時 注文の多いメイド喫茶カタストロフ(EXIT GM)の後 ただし昔話(若かりし頃の冒険)メイン
・場 どこかの町の喫茶店
・誰 当エピソードのヒロイン役、某国の姫君とコソ泥の少女。ダブルヒロイン。
・何 クーにせがまれ過去の遺跡探検を話す。多くの罠とそれを潜り抜けた先に隠された秘宝。秘宝をめぐる人々の願いと祈りと呪い。
・理 クー:過去の経験が活きたことに興味を持ったから。
過去:生贄にされそうになった姫君を偶然助けたことから始まる遺跡探索と、少女の手に入れた秘密のアイテム、そこに秘められた思惑を探る。
・味 冒険と神秘、ホラーとちょっとロマンス。当時すでに大人だったからそういう事もある。そして別れ。
蛇神 御影陽菜
 ヒューマン | グラップラー | 20 歳 | 女性 
・時 変哲もない普通のある日
・場 服屋
・誰 PC本人とスレイブ
・何 服を見にいく
・理 スレイブに、たまにはおしゃれした方がいいと言われ連れてこられたから
・味 全体:糖分控えめ、楽
コーディアスルゥラーン
 デモニック | シャーマン | 23 歳 | 男性 
夢を見た
僕はここでは無い世界で戦場にいた
トリッキーな戦法で敵を翻弄し仲間と協力して倒していく
そして隣には紫の緩いウェーブの髪をなびかせた僕の愛しいパートナーの…

コーディ朝ですよ
声を掛けられ目が覚め
夢のその人が僕の顔を覗き込んでいる(錯覚)から思わず抱締めた
あれ?ルゥ
気付けばルゥが僕の下で驚いた顔してる(最終的に押し倒したらしい
ごめん寝ぼけてた
どんな夢を見ていたんです?と彼女が笑ってる
(薄れて思い出せないが)たまに見る夢だよ

朝食
酒場の仕事は夜からだし
街に出て街頭テレビを見るのもいい
ギルドもちょっと覗いて行こうか
なんて他愛無い会話
おかずぱくり
これ味が薄いよ
味付けでひと悶着

よし出かけるか
行くよルゥ!
アンネッラ・エレーヒャトゥルー
 エルフ | メイジ | 16 歳 | 女性 
・時
【祭典】暗躍する新たな脅威終了後
・場
宿屋の部屋
・誰
アンネッラとトゥルー
・何
思い出話
・理
一難去ってまた一難…今まで二人で乗り越えてきましたし…知り合いの方も増えました
これからも何とかなりますよね…?
・味
全体:ほのぼの
家族構成()はトゥルー意見
父:厳格(過保護)
母:おっとり(芯があり強い)怒ると怖い

旅に出る前の一幕
父「まだお前には早い!…それにまだみま…も…(もごもご」
ア「私を止めても無駄ですわよ!外の世界に行くのは昔からの約束でしたでしょう?」
母「…ええ、そうね。色んなものを見てきなさい。…ついでにお婿さん連れてきてもいいのよ?」
父「…!?駄目だ!」
ア「お母様!?…とにかくいってきますわ!」
星野秀忠みくり
 エルフ | メイジ | 36 歳 | 男性 
【・時 グランドプロローグ「崩壊の始まり」の3ヵ月前

 ・場 秀忠の自宅兼研究室

 ・誰 みくり(人間・秀忠の妻、スレイブではない)

 ・何 妻のみくりに神の手らしき怪しい男が付きまとうようになる。
    秀忠が急な国際会議で自宅を襲撃される。みくりは抵抗したため、神の手によって殺害される。
秀忠は会議のおかしな点に気づき、途中で帰宅。みくりが瀕死の状態であるのを発見する。
    自宅近くで怪しい男とすれ違う。

 ・理 みくりに神の手の計画に必要な魔力などが備わっていたから。
    自分が無能だったから?

 ・味 苦い思い出。けれどもそれがあったからスレイブのみくりと出会った。    】
エルヴァイレント・フルテアルフォ
 ドワーフ | ウォーリア | 19 歳 | 女性 
・時…冒険者として身を立て始める少し前

・場...デュオポリスにある実家の武器工房

・誰...エルヴァイレントの両親

・何…冒険者として旅立とうと思っていることを切り出す。

・理…いつか工房の跡を継ぐためにも、武器作りだけじゃなく色々なことを経験しておきたい、と思ったため。

・味
エルヴァイレント→今回は真剣め。
アルフォ→同じく、真剣。
父→ちょっと不器用だけど、根っこは優しい親父さん。
母→優しい性格。二人の旅立ちには、ほんの少し寂しさを覚える。


参加者一覧

Shades=Dawntonalite=douceur
 デモニック | メイジ | 32 歳 | 男性 
ステファニークラリス
 デモニック | メイジ | 20 歳 | 女性 
ワイアット・R・ジェニアスクーサモラエスクワックェルクラントーム
 ヒューマン | シーフ | 52 歳 | 男性 
蛇神 御影陽菜
 ヒューマン | グラップラー | 20 歳 | 女性 
コーディアスルゥラーン
 デモニック | シャーマン | 23 歳 | 男性 
アンネッラ・エレーヒャトゥルー
 エルフ | メイジ | 16 歳 | 女性 
星野秀忠みくり
 エルフ | メイジ | 36 歳 | 男性 
エルヴァイレント・フルテアルフォ
 ドワーフ | ウォーリア | 19 歳 | 女性 


リザルト


●新たな『人』との出会い

 ここスノーフォレストで暮らす人々は、何故この街が将来谷底へ沈む事を危惧しないのであろうか。
 齢12歳にして【Shades=Dawn(シェーズ=ダーン)】はそうした大人も目を背けるような疑問に、真正面から向かい合うような子供であった。

「シェーズ。降りてらっしゃい」
「はい、母上」

 シェーズの家はとりわけ裕福という訳でもない。
 おまけにディナリウムに属する都市の中で最北であるここには書物も流行も流れてくるには時間がかかる。
 そうした環境の中で必然的に彼は物を大切にする子供となっていた。
 彼は何度も読み込んだ辞典を本棚へしまうと、一階へと降りる。
 階下には既に家族が揃い踏みである。

「来たか。シェーズ、お前に渡したい物がある」
「父上……これは、人形ですか?」
「正確には最近ディナリウムにて普及し始めた『スレイブ』という物らしい。主人と認識した人間とその家族の世話を行う魔法生命体だそうだ」
「そうですか……」

 目の前には、明るい緑色の髪をした女性が眠ったように立ちすくんでいた。
 魔法生命体……それが何か定義することは困難であるが、一目見る分には人間と相違がない様に思える。

「さぁ、スレイブを起動するのだ」
「どうすれば良いのですか?」
「方法はいくつかあるそうだが……そうだな、顔に触れ名前を呼んでみよ」

 シェーズは目の前の女性の顔に触れると、首から下がるタグに記載された文字を読み上げる。

「……【tonalite=douceur(トナリテ=ドゥサール)】」
「……コマンドを確認」

 女性は何か言葉を呟くと、うっすらと目を開く。
 右目は髪よりも少しだけ深い緑色。
 左目には黄色の輝きが宿り始め、触れる肌には温もりが広がっていく。

「私はトナリテ=ドゥサールと申します。御主人様、お名前をお聞かせ願えますでしょうか?」
「僕はシェーズ。シェーズ=ダーン」
「シェーズ様ですね。かしこまりました。今後は貴方様を主人としお仕えさせて頂きます」
「ふむ……どうやら問題は無いようだな。シェーズ、これは暫くお前に預ける。適当に教育しておけ」
「分かりました」

 こうして、シェーズは数か月間彼女とずっと同じ時を過ごした。
 最初は興味本位の観察であったが、時折見せる仕草や振る舞いを見続けてきた彼は段々と彼女を物として扱う事に違和感を感じ始めた。
 そんなある日の事。

「トリナテ。僕といる時だけで良い。その時だけは主従ではなく、相棒として側に居てくれないだろうか」
「相棒、ですか……一体どうして?」
「僕にも良く分からないんだけど……君を物でなく、人として大事にしたいと……そう強く思うんだ」
「……分かりました。やってみます」

 トリナテとシェーズ、2人の関係はこの時を境に変わっていったという。


 


●思い思われ、想いを結んで
 ディヘナのとある魔法店。
 魔術用の小物やちょっとしたお菓子を販売しているこの店では【クラリス】が店番をしていた。
 普段はそこそこ賑やかさのある店なのだが、今日は何故か驚くほど客が来ない。
 彼女はしばし考え込んでいたが、意を決した様子で2階へと上がっていく。

「【ステファニー】。買い物に行きましょう」

 2階では彼女の主人が研究室で頭を抱えていた。
 どうやら魔術を使った新作グッズの作製に難航しているようで、クラリスのおかげで最低限食事や睡眠は取れているものの、目にはクマが出来てしまっている。

「えー? 今はちょっと! もうちょっとでアイデアが降って来るはずだから!」
「ダメです。そろそろ食料も無くなってしまいますから、絶対に行くのです」

 一度契約を交わせば、基本的にスレイブは主人と10m以上離れて行動出来ない。
 つまりステファニーは今現在行っている自分の魔術実験を中止するか、クラリスと共に買い物に行くしかないのだ。
 多少駄々をこねてみるものの、珍しく頑固な相棒にステファニーは屈した。
 こうして外に出た2人は今、買い物を終え近くのカフェで休憩を取っている。

「如何ですか? ここのカフェは最近評判なんですよ」
「うん! このケーキすっごく美味しい♪ それになんか久しぶりに陽の光を浴びたって感じ!」
「……ふふ。貴女が楽しそうで、本当に良かったです」

 はっとした。ステファニーにとってそれが一番正しい表現だろう。
 普段無口で無表情であると評されるクラリス。
 だが、共に暮らしてきたからこそ分かる事がある。
 
「貴女が研究を大切にしている事は分かっているつもりです。ですが、たまにはこうして気分転換した方が、きっといいアイディアが浮かぶと思うのです」

 彼女はいつも以上に饒舌で、それでいて楽しそうであった。

「……ゴメン、クラリス!」
「っ!? ステファニー、ここは外ですよ!?」
「クラリスはいっつも私の事気にかけてくれてるのに、私ったら全然クラリスの事見れてなくて! つい研究に夢中になっちゃってて……!」
「……良いんです。私は貴女が元気でいてくれさえいれば」

 ステファニーは席を立ちあがり愛しのクラリスを抱きしめる。
 大切な相手の想いを知った今、周りの目など気にならない。
 最初は恥ずかしがっていたクラリスも、そっと彼女を抱き返した。

「はっ! ギュッとしたらハートが飛び出る抱き枕なんて良いかも!」
「全く、貴女という人は……就寝時間は厳守してもらいますからね?」
「あははは……ゴメンね。でもありがと! おかげで色んなものが見えてきた気がする! このお礼は絶対するから楽しみにしててね!」

後日無事に抱き枕を完成させた彼女は、クラリスお気に入りの植物園で2人だけの時間を満喫するのであった。





●老兵の若かりし記憶
 とある喫茶店にて【ワイアット・R(ロビン)・ジェニアス】は【クーサモラエスクワックェルクラントーム】と共に一服する。

「次はどんな依頼だろうね? また国同士の喧嘩を仲裁せよー! 的なやつだったりして」
「クーが言っておるのはこないだの一件か? あれも中々に刺激的じゃったのう」

 彼はコーヒーを一口含むと、あの時の出来事を思い出す。
 それは彼や仲間達の活躍により、一国の危機を転機へと変えた彼の中でも思い出深い依頼の1つだ。

「何よ、まさか……あのお姫様の事考えて鼻の下伸ばしてるんじゃないでしょうね?!」
「違うわい。昔会った別な姫を思い出しとったのじゃ」
「へー、どんな話?」
「まだ20代の若造だった頃じゃったか……」

 彼は相棒に出会う前の事を語り始めた。


~~~


 当時彼は冒険者として旅を始めてからある程度の期間が経った頃であった。
 スレイブという存在は社会に浸透しきっておらず、絶対の味方を持たない人と人の間には、目に見えない信頼と疑惑が渦巻く世の中は、あまり良い世界とは言えなかったかも知れない。
 だが、だからこそそうした世界を渡り歩いてきた彼には、それなりの自信もあった。
 
「まさか、こんな事になるとはな……大丈夫かいお姫様?」
「ええ。ですが貴方様は……」
「なあに心配しなさんな。こいつはちょっとした神様のイタズラさ」

 某国より近隣に勢力を持つ魔物の部族から、攫われた姫君を救い出してほしいという依頼を受けたワイアット。
 彼は調査を進める内、部族が姫を攫った理由はある遺跡に眠る宝石に生贄を捧げるためだった事。
 実は姫の国の大臣が利権の為に邪魔な人間を生贄に差し出していた事を知る。
 遺跡にて行われる部族の儀式を間一髪食い止め姫君を救い出した彼は某国へ帰還したが、逃走の際に深手を負ってしまっていた。

「だから言ったのよ。そのお姫様を餌にして逃げ出すべきだって」
「おいおいコソ泥の嬢ちゃんよ。言っただろ? こいつは姫様とは比べる価値もない代物さ」

 彼の手には部族が大切にしていた宝石が握りしめられていた。
 当初お家復興のためにこの宝石を狙っていた少女は彼と出会い、宝石を手に入れる代わりに姫君の救出に協力する契約を交わす。
 だが、実際に手に入れてみればこれは何の変哲もないただの宝石であった。
 
「こいつはただの石ころ。それが下らない悪だくみのせいで神秘という名のベールに包まれちまった。姫様もお前もこんな神秘に汚される必要はねぇ、2人とも自分らしく生きていけば良い。宝石は俺が盗んで高跳びした事にする。じゃあな」

 去り行く彼の背中を2人の少女は抱きしめる。
 その先であった淡い物語は今の相棒には刺激的すぎるので割愛されたが、クーはこうして主人の冒険の断片を垣間見るのであった。





●格闘家、服を買う
 眠い。
 それが【蛇神 御影(へびがみ みかげ)】の正直な感想だった。
 彼女がスレイブの【陽菜(はるな)】に半ば強引に連れてこられたのは、ディナリウムのとある服飾店。

「うわぁ~……! マスター! 可愛い服が沢山ありますよ!」
「当然でしょ? 服屋なんだから」
「服があることが大事なんじゃありません! 可愛い服があることが大事なんです!」

 それは結局服が大事ということではないのだろうか。
 御影の脳内では疑問符が量産されていく。
 それとは対照的に、陽菜は今にも感嘆符が踊り出しそうな勢いで服を物色していた。

「ど・れ・が良いかな~♪」

 オレンジがかった髪がるんるんと揺れる。
 見た目通りの少女らしい思考で、お洒落や可愛いものに目がないお嬢さん。
 それが陽菜であるのだが、御影からすれば世話好きの困った妹と言ったところ。
 悩みぬいた末、陽菜はお気に入りの服を何着か持ってくると笑顔で問いかけてくる。

「マスター! これ、一緒に着ませんか?」
「動きづらい」
「んぐっ……! じゃ、じゃこれなんてどうですか!?」
「スカートは嫌い」
「うぅ!? ならなら……これで決まりですねっ!」
「何かピンとこない」
「そ、そんなぁ~?!」

 がっくりと肩を落とす陽菜。
 しかしそれも束の間、気を取り直すとまた服の海へと飛び込んでいく。
 こうした状況になると御影も手持無沙汰となってしまう。彼女は陽菜にこう問いかける。

「わざわざ新しい服を買わなくたって、予備の服は充分にあるじゃないの」
「確かにマスターは今お召しになっている服は沢山お持ちですけど……全部一緒じゃないですか!」
「それで良いんじゃないの? 素っ裸でうろついてなければ何を着たって一緒よ」
「そんなんじゃマスターは立派な女の子になれないからダメなのです!!」

 ローテンションの主人から理解を得られぬとも、スレイブ陽菜は諦めない。
 こうしたやり取りはかれこれ数時間続いた。


~~~


「どうして陽菜の買い物はこう長いのかしら?」
「それは勿論、より良い物を選ぶためですよ!」
「最初から何を買うか選んで来ないから迷ってるだけじゃないの?」
「それはその……服装選びは運命ですから! 出会いを信じて歩み出すのが大切と言いますか……」
「ふ~ん。変わってるのね」
「それはマスターの方ですってば!」

 楽しく? 会話を死ながら帰路へと向かう2人。
 陽菜がこっそり企てていたペアルック大作戦は失敗に終わってしまったものの、何とか御影に新しい服を買わせる事に成功した。
 御影がどう思っていようとも、かっこいい御影も女の子らしさのある御影も、そのどちらもが自身の大切な主人の姿なのだ。
 自分の主人がいつかその女の子らしさをきちんと理解するその日まで。
 陽菜の御影におしゃれさせよう大作戦が終わる事はない。





●ずっと共に居られますように
 目の前に異形と戦う人々が交差し合っている。
 こんな戦場のような場所僕は知らないけれど、視界に映る手や体が自分の物であるという事が感覚的に分かった。

【コ―ディアス】はまるで他人事の様に自分の事をそう俯瞰する。
 
 気づけば僕の体は勝手に動き、目の前の異形を翻弄している。
 そして僕のトリッキーな戦い方に混乱した敵に、何処かで見たような人間がとどめを刺す。
 これは共に戦う仲間なのかな?
 周りの人々が勝利に喜ぶ中、僕は隣の人物へと笑顔を向ける。
 そして駆け出して行くんだ。勝ったよ! って。
 視線の先には、紫の緩いウェーブヘアーをなびかせた僕の大切な……


~~~


「コーディ、朝ですよ」
「……」

 スレイブの【ルゥラーン】が彼を起こそうとするものの中々目を覚まさない。
 しかし突如、コ―ディアスはルゥを抱きしめるとベットへと倒れ込む。

「こ、コーディ!?」
「へ、へへ……かっ……よ……」
「コーディ? 寝てるのですか?」
「う、う~ん……あ、ルゥ。おはよ」
「もぅ……今の状況、分かっていますか?」

 気づけば、コーディーはルゥを自分のベットに押し倒すような形になっていた。
 驚いた表情の彼女は頬を赤く染めている。
 しばらく見つめ合った後、2人は取り敢えず朝食を取る事に決めた。

「驚いたんですからね。一体どんな夢を見ていたんです?」
「なんかよく思い出せないんだけど、たまによく見る? 的な……まぁ、悪くない夢だったよ」

 笑いかけるルゥに、コーディーも笑顔で応える。

「それならば安心です。さ、朝食ですよ。今日は踊りの仕事が夜からですので、朝は少し軽めのものにしてみました」
「おっ、今日はハムと玉子焼きか」

 いただきますと手を合わせると、コーディは品がありつつも勢いよく食べ始める。
 しかし少し食すとその手はすぐに止まってしまった。

「久々だったからかまた味が薄いかな。ちょっとこっち来て」

 彼は皿を持って台所へルゥを連れて行くと、味を調えて試食させる。

「僕はこのくらいの濃さがありがたいんだけど。はい、あーん。……違い分かる?」
「もぐもぐ……はい、覚えます」

 2人きりの時は当たり前のようにあーんを受け入れる彼女は、にっこりと笑顔を向ける。
 ルゥは味覚が疎いため中々味を覚えてくれないが、こうして2人だけの何かを探す時間は悪くない。
 コーディはそう思っていた。

 その後彼らは長めの朝食を済ませ、出かける準備を整える。

「まずはギルドへ出かけようか。行くよルゥ!」
「はい、コーディ」

 2人はお気に入りの衣装に身を包むと馴染みの道を歩き出す。
 例えこの道が消え去り夢のような世界に生まれた変わったとしても、僕は彼女とずっとこうして並んでいたい。
 コーディーはこの幸せな日常に大切な願いを再確認するのであった。





●誇りを胸に抱けるその時まで
 【アンネッラ・エレーヒャ】は宿屋で魔法の練習に励んでいた。
「……【ジ・アビス】!」

 魔法陣と共に炎や氷などの能力が含まれた色とりどりの球体が6つ出現する。
 そのどれかに彼女自身の魔力である白き7つ目球体が重なった時、魔法は威力を発揮するのだが……ここで発動させる訳にはいかない。
 彼女が集中を辞めると球体は霧散した。

「あら、またやってたの?」

 そこへシャワーから戻った【トゥルー】が声をかける。

「先日の戦いでは魔力を練り上げる時間も、魔法の威力も全く敵いませんでしたわ……もっと修行しなくては!」

 以前【創造の碑】というオーパーツ回収依頼にて、彼女はオーパーツが持つ神秘の力と対峙した。
 彼女は溜めに溜めた魔力を使い全力で放ったものの、敵に攻撃を当てる事は叶わず、相手の魔法と相殺させるのが精一杯であった。
 その事実は、彼女がこの広い世界で冒険者として渡り歩いてきた経験の自信を打ち砕くのに充分過ぎる。

「でも根を詰め過ぎよ。貴女は依頼を果たしたじゃない」
「そ、それはそうですが……」
「ふふっ」
「な、何ですか急に?」
「村を出た時の貴女を思い出したのよ」
「……村、ですか……」


~~~


 スノーフォレストのとある村のとある民家。
 そこには16歳の誕生日を迎えた少女がいた。
 誕生会を終えた少女は、両親と向かい合う。

「お父様、お母様……今までありがとうございました。アンネッラは、今日をもってこの村を発たせて頂きますわ」

 規律に守られたこの村にいれば安寧で平穏な毎日が流れる。
 だが知識を求める彼女の好奇心にとってこの村は狭すぎた。

「……ならん! お前には早過ぎる!」
「止めても無駄ですわよ! 16になったら旅に出るのは昔からの約束でしたでしょう?!」
「お前のような、い……いとしの……娘を見守れないなんて……おごっ!?」
「ほらお父さん。今更文句言わないの。アンネ、外の世界で色々なものを見てきなさい。……ついでにお婿さん連れてきてもいいのよ?」
「……!? おごごおご?!!」
「おお母様!?」
「うふふ。トゥルー。アンネを宜しくね」
「あらあら。分かったわお母様」


~~~


「お父様、お母様……」
「アンネ、思い出したら帰りたくなった?」
「……帰りたくないと言えば嘘になりますわ。でも……反対を押し切って飛び出したのですから、何かを果たすまで帰りたくはないのです」
「難しく考える事はないわ。勿論1人で抱え込む必要もね。貴女はただ、思うように生きていけば良いのよ」
「トゥルー……」

 昔から人見知りで問題を抱え込みがちなアンネ。
 だが旅を通して彼女は着実に成長を重ねている。
 ずっと側で見守るトゥルーはそれを一番に感じていた。

(貴女の明るい未来……私はこれからも側で見守っているわ)





●僕が旅をする理由
 スレイブの【みくり】は主人である【星野 秀忠(ほしの ひでただ)】の寝室を訪れる。

「遅くまで研究ご苦労様です。コーヒーをどうぞ」
「ありがとう、みくり」

 目の前には妻によく似た笑顔が僕を見据える。
 そんな事を感じながら、秀忠は飲み物に口をつけた。
 
(同じ味だ、彼女と……)


~~~


「これで買い物は終わりかな?」
「ええ。荷物もってくれてありがとう、秀忠さん」

 商店街を訪れていた秀忠と1人の女性。
 5年前秀忠がこの場所でひったくりに襲われた彼女を助けたことから交際が始まり、つい3日ほど前に彼らは結婚した。
 秀忠は自慢の妻である『みくり』をとても大切に思っていた。

「それにしても、君は色々な人から好かれているみたいだね」
「どういうこと?」
「ちょっとね。家まで走れるかい?」
「はい」

 秀忠は荷物を片手に集めると、もう片方の手でみくりの手を引く。
 走り出して暫くは誰かが彼らを追ってきていたが、秀忠は路地を使いその追跡をまいた。

「やはり誰かにつけられているみたいですね……少し気がかりなので、家を魔法でかためましょう」

 それから一週間、秀忠は彼女の側にいるよう心掛けた。
 みくりも不安を感じているものの、彼と一緒に居られる事に幸せを感じていた。
 
「では行ってきます。みくり、戸締りはしっかりと」
「大丈夫。あなたも気を付けてね」

 この日秀忠は学者としての仕事でどうしても離れた町へ行かなければならなかった。
 彼は家にかけた防護魔法を念入りに確認すると出発する。
 その時の彼女の笑顔は、何故かとても彼の脳裏に焼き付いた。 


~~~


「……はぁはぁ! ……はぁはぁ!」

 秀忠は全力で走り抜ける。
 彼が向かった先の町では、秀忠の依頼された仕事は存在しない事になっていた。
 何か怪しい気配を感じた彼は急ぎ自宅へと戻る。

「無事でいてくれ……! みくり!」

 道中、彼は銀色のローブに身を包んだ怪しい男とすれ違う。
 男は彼を見るとニヤリと笑いかけた。
 不審に思う秀忠だったが、今はみくりが心配だ。
 足を止めることなく彼は先を急ぐ。
 そして彼の視界には、燃えあがる自宅が映り始める。

「くっそ!」

 駆けつけた彼は妻の姿を探す。
 見つけた時には、みくりは血だらけの様子で倒れていた。

「一体何でこんなことに!?」
「秀忠さん……あなたが助かってよかった」

 彼の回復魔法でもこの傷では癒しきることが出来ない。
 みくりは薄れゆく意識の中で首筋に入れ墨のある男に襲われた事を告げた。

「……アイツか!」
「……これを」

 彼はみくりから一枚の用紙を受け取る。
 それはスレイブの交換券だった。

「私はあなたといられて……幸せでした」


~~~


 その日彼はみくりを失い、みくりと出会った。
 入れ墨の男を見つけるその日まで、彼と新たなみくりの冒険が終わることはない。





●槌に込めた約束
 カン。カン。カン。
 一定のリズムで金属音がなり響く。
 ここはディオポリスにある武器工房。
 数ある工房の中でもこの店は腕がいいと評判であり、一人娘の【エルヴァイレント・フルテ】は両親の指導の下着々と技術を磨いていた。

「……よし。これで完成やね」

 彼女はゴーグルを外し、長い髪をしまった帽子を脱ぐと自身の創り上げた大剣の状態を確認する。
 ずっと前から構想を練り丹精込めて槌を入れた、大切な一品。
 装飾などは決して華美ではないが、旅の共としては申し分のない出来であった。
 そこにスレイブの【アルフォ】がやってくる。

「あっ、エルさん……遂に完成したんだね」
「どうやろか。うち的には結構自身作なんやけど」
「……うん。すっごく良いと思う」
「ありがとうな。ほんなら今日……話、してみよか」
「……うん」

 その日の夜。
 エルは両親と話し合いの場を設けた。

「……話ってなんや、エル? アルフォ?」
「あのな父さん……うち、冒険者になろうと思ってるんよ」
「そうなん? 冒険者で身を立てるのは楽な道やあらんよ?」
「そやね母さん。でも人生経験を積むには一番の環境やろ」
「それはこの家を出ていきたい、ちゅうことか?」
「そうやないよ。うち将来はこの工房を継ぎたい。でも今のままのうちじゃ2人を超える事が出来ひんから……この工房を2人から継ぐためには、もっと色んな経験積んどかなあかんと思ってるんよ」

 彼女は今日完成させたばかりの大剣を鞘から取り出して見せる。

「これがうちがこしらえた旅立ちの武器なんよ。これの出来が悪いんやったらうちは冒険に出るのをきっぱり諦める」
「でも……もし合格だったら、旅に出る事を許してほしい……少し前から、二人で話して決めたんだ……お父さん、お母さん……お願い」

 エルの父親は立ち上がると、自分の小槌を持ってきた。
 見て、軽く叩いて、実際にもってみる。
 その目は真剣そのものであった。その間しばしの沈黙が続く。

「……お前らの気持ちは、よう分かった」

 彼は小槌を置くとエル達を見据える。

「まだまだ甘いところだらけやけど、お前の気持ちが伝わる剣やった。俺はもう何も言わへん……やると決めたからには、きっちり学んでくるんやぞ」
「ちょっと寂しなるけど……二人なら、きっと大丈夫や。行ってき。風邪とか引かんようにな? 何かあったらいつでも戻って来るんよ?」
「……やったぁ! エルさん……!」
「ありがとな! 父さん、母さん!」

 エルとアルフォは手を取り合って喜び合う。
 待ち受ける冒険は楽しいだけではない、苦難も多いだろう。
 だが鍛冶師にとって何折も必要なものは人生の経験と槌を振るった回数である。
 技術を身に着けることよりも難しいその修練の道へ、エルとアルフォは最初の一歩を踏み出したのであった。



依頼結果

成功

MVP
 エルヴァイレント・フルテ
 ドワーフ / ウォーリア


作戦掲示板

[1] ソルト・ニャン 2017/10/20-00:00

やっほにゃ~ぁ
挨拶や相談は、ここでお願いにゃ~!
みんなふぁいとにゃにゃ~  
 

[4] 星野秀忠 2017/10/26-13:11

エルフでメイジの星野です。
パートナーはみくりです。
よろしくお願いします。  
 

[3] アンネッラ・エレーヒャ 2017/10/25-00:37

アンネッラ・エレーヒャと申します。パートナーはトゥルーです。
よろしくお願いいたしますわ。  
 

[2] コーディアス 2017/10/23-00:31

コーディアスとパートナーのルゥラーンです。
よろしく。