吸血鬼に攫われた貴族の少女を救え!(皐月 遊 マスター) 【難易度:普通】




プロローグ


 吸血鬼。 それは、人間の血を吸い、永い時間を生きる怪物だ。
 吸血鬼は人間の倍の力を持ち、普通の人間では吸血鬼に勝つ事は出来ない。

 そんな吸血鬼が、ある村を襲った。

「殺されたくなければ若い人間を寄越せ」
 村を襲った吸血鬼は三体。
 男の吸血鬼が二体、女の吸血鬼が一体だ。
 全員吸血鬼の特徴である白髪に赤い目を持っている。

 一体目は頬にキズがあり、長身の男の吸血鬼。 この吸血鬼が三体のリーダーらしい。
 二体目はメガネを掛けた頭の良さそうな男の吸血鬼。
 三体目は長い白髪でスタイルのいい女の吸血鬼だ。

 吸血鬼が襲ったこの村は小さく、戦える者は少ない。

「貴様がこの村の長か。 若い人間を出せ」

「か……帰れ吸血鬼……!」

 吸血鬼に胸倉を掴まれても、村長である老人は村人の事を話さなかった。
 村長を掴んでいた吸血鬼は村長を地面に叩きつける。
 
「ふん。 貴様が口を割らないならそれでいい。 こちらで勝手に探すさ」

「あら、私このおじ様気に入ったわ! ねぇオルガ、このおじ様の血を吸ってもいいかしら?」

 唯一の女の吸血鬼が村長の首を触りながらオルガと呼ばれたリーダーの吸血鬼に言う。
 するともう1人の吸血鬼が。

「やめときなよサリー。 老人の血は不味いんだよ。 君不味い血を飲むと不機嫌になるじゃないか」

「……ラースの言う通りね。 不味い血は飲みたくないわ」

ラースと呼ばれたメガネを掛けた吸血鬼に言われたサリーという吸血鬼は、村長の首から手を離す。

「……早く若い人間を探すぞ。 早く血を吸いたい」

 オルガが若い人間を探す為に歩き出すと、近くの宿から勢いよく1人の少女が飛び出して来た。

「待って! 」

 飛び出して来た少女は両手を広げ、吸血鬼三体の前に立ち塞がる。
 少女は金髪の長い髪で、15歳くらいの可愛らしい見た目だ。

「あら、可愛い女の子じゃない。 あの子私の物ね!」

「勝手に決めないでよサリー、あの子は僕の物だ」

 オルガの後ろで言い争う二体には構わず、オルガは自分の舌で唇を舐める。

「貴様、さては貴族の娘だな?」

 少女が身につけている数々のアクセサリーから判断したのだろう。
 少女は頷く。

「そうよ! 私は貴族の娘、メイよ! 私があなた達に捕まってあげるから、この村に手を出さないで!」

 少女にそう言われ、オルガは考える。
 そして……。

「良いだろう。 貴様で我慢してやる、こっちへ来い」

「ちょっとオルガ!? 何考えてるのよ! あの子1人じゃ足りないでしょ!?」

「よく考えろサリー、あいつは貴族の娘だ。
あいつの親から金を奪い取り、その金を使って沢山の人間を捕まえればいい」

 金さえあれば人間はいくらでも手に入る。 とオルガは小声で二体の吸血鬼に言う。
 二体の吸血鬼は納得したのか、何も言わなくなる。

 そしてオルガの前に来たメイは。

「この村には手を出さないって約束して!」

「あぁ。 約束しよう」

 そう言うと、オルガはメイの腹を殴り気絶させ、肩に担ぐ。
 そして大声で叫ぶ。

「この娘の親に言う! この娘を返して欲しければ大量の金を用意しろ!!
我々は山の中にある屋敷にいる! 10日以内に金を用意して屋敷まで持って来い!」

 そう言って吸血鬼達は貴族の少女、メイを連れて村を出て行った。

 震えて見ている事しか出来なかったメイの両親は、吸血鬼達が村を出てすぐにギルドに行き、娘の救出を依頼した。


解説


貴族からの依頼です。
依頼内容は、「吸血鬼に攫われた娘を助けてほしい」というもの。

吸血鬼は人間の倍の力を持つと言われていますが、弱点が無いわけではありません。
吸血鬼は光、十字架、聖水に弱いと言われています。
依頼主である少女の父親は、十字架と聖水を人数分用意すると言っています。
なので吸血鬼と戦う際は弱点を攻めれば楽に倒せるかもしれません。

また、吸血鬼は三体居ます。 三体が揃うと厄介なので、分断して戦うと良いでしょう。

もし仲間と協力体勢をとる場合は、グループアクションということで『GA【グループ名】』という記述をアクションプランの冒頭に入れて下さい。


ゲームマスターより


こんにちは! GMの皐月 遊です!
今回は幻想的絶頂カタストロフィーの方にエピソードを投稿させて頂きました!
戦闘シーンを書くのが好きです!
吸血鬼とPLさん達がどんな風に戦うのか、書くのが楽しみです!



吸血鬼に攫われた貴族の少女を救え! エピソード情報
担当 皐月 遊 GM 相談期間 5 日
ジャンル --- タイプ EX 出発日 2017/8/18
難易度 普通 報酬 通常 公開日 2017/8/28

ジーン・ズァエールルーツ・オリンジ
 ヒューマン | ウォーリア | 18 歳 | 男性 
●心情
自ら人質になるとはタフな女だ。嫌いじゃねえし吸血鬼にはもったいねえ
それに金払いが期待できそうな貴族と縁ができる絶好の機会。とっととぶっ倒すぞ!

●行動
人質の安全は最優先。そのために身代金を用意してもらい、奴らの根城で人質と交換する場を設ける
そこで俺のスレイブのルーツに金を持たせて向かわせるから、人質もこちらに向かわせろと指示
その後はルーツか仲間が娘を保護。その後は皆さんお待ちかねの撃滅タイムになだれ込む

●戦闘
武器はグレートソード。対吸血鬼用に聖水をかけておく
狙うはオルガというリーダー格
ルーツに聖水を投げさせてなるべく広い空間へ誘導
戦闘時は武器のでかさを利用した斬撃。一定の距離を保つよう立ち回る
接近されても手の甲に十字架を結んでおいた拳で殴って迎撃
怯んだら懐の聖水を投げつけ、その隙に得物をオルガの胴体に叩き込んで殺す
あの世に着くまで、止まるんじゃねえぞ……
ステラ・ザクセンエノン・ザクセン
 ヒューマン | ウォーリア | 20 歳 | 女性 
目的は吸血鬼退治と人質の奪還。
持っていく武器は片手剣、防具は革鎧、道具は十字架、聖水です。
ただし聖水はコウユウさんに渡します。
使う気はありませんが人質の貴族の娘の父親に身代金を用意させる。
用意出来ない場合は、袋に小石を詰めて上に貨幣を敷き詰めて見せ金にする。

屋敷には仲間と共に人質交換に見せ掛けて出向きます。十字架は懐に隠します。
吸血鬼に娘の無事を見せてくれと頼み、娘の位置をはっきりさせる。
コウユウさんが不意打ちをして娘を取り返したら戦闘開始。
前衛に立ち吸血鬼相手に戦います。片手に片手剣を持ち、もう片手に十字架を持っています。
吸血鬼に一人で相手にせず、複数人で当たるようにする。
スレイブのエノンは片手剣と小型盾を持ち、革鎧を着ています。私と同じく前衛を担当します。
ナイトエッジシース
 ヒューマン | ウォーリア | 17 歳 | 男性 
身代金の受け渡しで相手の意識を引きつけ、不意を討って一気に仕留める作戦だ。
依頼人である貴族から十字架と聖水を受け取って懐に忍ばせておく。
【戦闘】
スレイブのシースのサポートを受け片手剣の二刀流で戦う。
吸血鬼が三体揃うと厄介だ、俺は眼鏡をかけたラースという吸血鬼を狙って攻撃、他の二人と連携されないよう分断しよう。
ダメージを与えるのではなく、動きを封じる連続攻撃で他の二人から引き離す。
反撃をされたら利き手に持っている剣をわざと弾き飛ばされて隙を作って攻撃を誘う。誘いに乗って来たら懐から十字架を取り出してカウンタで殴りつけよう。殴って怯んだら聖水をかけて弱らせよう。
そうして合流されないよう注意しながら残った剣で急所を狙って攻撃していく。
最後は首を刎ねて心臓を貫いて止めを刺す、殺し損ねたとか笑えないから確実に殺しておく。
「お前らは誰かの平和を脅かした、ここで死ね」
空屋シロア
 ヒューマン | シーフ | 23 歳 | 男性 
なるべく戦闘はさけ、自分以外の人たちが屋敷の中に入ったら一番最後に屋敷にはいる、加勢などはなるべくせず、周りが戦闘してい間に人質を探して救出する、救出出来た場合は合図を送れたら送り加勢する、戦闘になった場合は十字架聖水を活用して、なるべく真正面から戦わずに不意打ちなどを心がける、救出出来た場合は少女の相手をシロアに任せる
夾竹 透乃アマリリス
 ヒューマン | ウォーリア | 20 歳 | 女性 
※武器は両手斧を使います

人数分くれるってことだから、聖水は私の分とリリちゃん(スレイブ)の分を貰っておこう。
十字架は私の武器の、構えた時に敵に見える位置にくくりつけておくよ。

狙うのは敵のリーダー!!

戦闘での狙いは敵の意識を私との戦いに集中させておいて、リリちゃんに聖水をぶつけてもらうこと。
敵の目の前で聖水を口に入れよう。迂闊に近づいたら吹きかける、って感じの牽制だね。
聖水を口にいれたまま、武器を使って戦うよ。味方がいれば、攻撃のタイミングをずらして敵に攻撃させないようにしたいね。
その中でちょいちょい聖水を吹きかけようとする動きも入れてくよ。
敵があまり私を無視できない様子を見せたら聖水を吹きかけるよ。まあこれは避けられてもいいけど。
私が聖水を吹いたのを合図にして、リリちゃんの聖水を敵に投げつけてもらうよ!
弱点をついて敵が弱ったら猛攻をかけて一気に倒しちゃおう!
コウユウヒナ
 ヒューマン | ナイト | 25 歳 | 男性 
 少女の救出を最優先。隠れて救出の機会を伺う。チャンスが到来するか、もし吸血鬼が人質を使おうとしたら、不意討ち上等で攻撃し少女の奪還を試みる。救出後は可能なら他の冒険者の援護に回るが、少女の安全確保を優先。
(あの気が強そうな金髪の子…なんとなくヒナに似てる気がして他人と思えないんだよな)「なによ?人の顔をジロジロ見て…」「はっはっは、今日もカワイイぜマイシスター」「ハ、ハァ!?いきなり何なの!?」
 依頼人に頼んで聖水を出来るだけ多く用意してもらい、それを使って戦う。もし他の冒険者が聖水を使わないならこちらに回して貰えないか頼む。あまりにも量が少ないのであれば、最初からどうせ聖水では決定打たりえないと思っているので足止めと割り切り水で薄めて増やす。聖水がなくなり次第、元の盾主体の戦闘スタイルに戻す。何か効果ありそうなので盾に十字架を付けておく。
「ケガはないか?助けに来たぜ、嬢ちゃん!」

参加者一覧

ジーン・ズァエールルーツ・オリンジ
 ヒューマン | ウォーリア | 18 歳 | 男性 
ステラ・ザクセンエノン・ザクセン
 ヒューマン | ウォーリア | 20 歳 | 女性 
ナイトエッジシース
 ヒューマン | ウォーリア | 17 歳 | 男性 
空屋シロア
 ヒューマン | シーフ | 23 歳 | 男性 
夾竹 透乃アマリリス
 ヒューマン | ウォーリア | 20 歳 | 女性 
コウユウヒナ
 ヒューマン | ナイト | 25 歳 | 男性 


リザルト


 【出発前】
 吸血鬼が貴族の少女、メイを攫ってから2日後、村に6人の冒険者がやって来た。 この6人の冒険者は、メイの親がメイの救出をギルドに依頼し、その依頼を受けた者達だ。
現在、依頼主である貴族の部屋の前に冒険者の6人が集まった。
「冒険者の皆様、今回は依頼を受けていただき感謝いたします……!」
 貴族の男は冒険者達に頭を下げる。
「自ら人質になるとはタフな女だ。嫌いじゃねえし吸血鬼にはもったいねえ。 吸血鬼なんざとっととぶっ倒してやるぜ!」
 【ジーン・ズァエール】がそう言うと、貴族の男はまた深く頭を下げた。
「今回、吸血鬼の弱点である聖水と十字架を人数分ご用意しました」
「その事なんだけどさ、人数分って事は、スレイブの分もあるのかな?」
 【夾竹 透乃】は、横にいるスレイブ、【アマリリス】を見て言った。
「もちろんです。 皆様の文とスレイブの分、合計12個の聖水と十字架をお渡しします」
 そう言うと、貴族の男は机の上に12個の聖水と十字架を置いた。
「それは助かりますぜ。 んで、頼み事なんだが、誰か聖水を使わない人がいたら俺に恵んでくれねぇか?」
 【コウユウ】は、他の冒険者を見て聖水を恵んで貰えないか頼む。
「でしたら私とエノンの聖水をコウユウさんにお渡しします」
 【ステラ・ザクセン】はそう言うと、机から2つの聖水を取り、コウユウに渡した。
コウユウは聖水を受け取り、カバンに入れる。
「助かるぜザクセン嬢」
「聖水と十字架を受け取ったなら、早く屋敷に向かった方がいいだろう。 人質がどうなるか分からん」
 【空屋】は、聖水と十字架を持ち、椅子から立ち上がる。
「待て。 身代金で吸血鬼を油断させて一気に仕留めた方が楽そうだ。 おい、金は用意出来るか?」
 【ナイトエッジ】は貴族の男をまっすぐ見て問う。 貴族の男はゆっくりと頷き、部屋を出て行き、大きめの袋を持って戻ってきた。
「ここに、十分なお金があります。 これで吸血鬼達は満足するでしょう」
 袋の中には、大きな屋敷を建てても余る程の大金が入っていた。
それを見た冒険者達はゴクリ……と唾を飲み込む。
「安心して下さい。 このお金が吸血鬼に渡る事はありません。 あくまでもこのお金は吸血鬼を油断させるためのものです」
「その通りだぜ。 吸血鬼はぶっ倒す、金なんて渡すかよ」
 ステラ・ザクセンに続いてジーン・ズァエールが言う。
それから冒険者達は各々準備を開始した。
そして、全員の準備が完了すると、貴族の男に見送られながら冒険者達は吸血鬼の屋敷へと向かった。
――――――――――――――――――――
【吸血鬼の屋敷】
村から出発し、歩き続ける事数時間。 冒険者達はようやく吸血鬼の屋敷へとたどり着いた。
「うわぁー、大きな屋敷だねぇ」
「だな、吸血鬼にはもったいないくらいだぜ」
 屋敷を見上げる夾竹 透乃の横で、ジーン・ズァエールが羨ましそうに屋敷を見る。
吸血鬼の屋敷は3階建ての貴族が住んでいてもおかしくない豪邸だが、森の中という不気味な環境のせいで台無しだ。
「中に入ったら俺は人質救出の機会を伺う。 吸血鬼との交渉は任せるぜ」
 コウユウはカバンから水鉄砲を取り出し、その中に水で薄めておいた聖水を入れる。 それと同じ物をもう1つ用意し、スレイブの【ヒナ】に渡す。
「……準備出来たならもう行くぞ」
 コウユウが水鉄砲を準備し終えたのを確認すると、ナイトエッジが扉を開け、ナイトエッジを先頭、そして空屋を1番後ろにして屋敷の中へと入った。
屋敷の中はとても暗く、外見と同じように不気味だ。 明かりは壁に掛けてあるロウソクのみで、とても暗い。
「吸血鬼はどこでしょうか」
「ちっ……さっさと姿を見せやがれ」
 ステラ・ザクセンと空屋が辺りを見回すが、吸血鬼が何処にいるか分からない。
「人間が僕達の屋敷に何の用かな? 血をくれるのかい?」
 突然、何処かから聞こえた声に、冒険者達は身体を震わせる。
辺りを見回しても誰もいない。
居るのは1匹のコウモリだけだ。
「コウモリ……? なるほど、お前が吸血鬼か」
 ナイトエッジは屋敷の中を飛び回るコウモリをジッと見て言う。
するとコウモリが人型に変形し、情報にあった眼鏡を掛けたラースという名前の吸血鬼が現れた。
「そうだよ。 それで、君達は何かな? 」
「貴族の娘がこの屋敷に居るはずだ。 返してもらうぜ」
 ラースを睨みながらジーン・ズァエールが言う。
 ラースは目の前の6人を1人1人ジッと見ると。
「なるほど、君達は冒険者か。 あの娘の親がギルドに依頼したんだね。 まったく……面倒くさい事をしてくれたなぁ…… 」
「この袋の中に大金が入ってるわ。 このお金と人質を交換しましょう」
 そう言ってステラ・ザクセンはお金が入った袋を地面に置く。
「ふーん……まぁいいや。 何かあったら殺せばいいし。 いいよ、人質に会わせてあげるよ」
 ラースは大金が入った袋を持つと歩き出した。 冒険者達はラースに着いて行った。
――――――――――――――――――――
【吸血鬼との戦闘】
ラースに着いて屋敷を歩く事数分、ある扉の前でラースが止まった。
そしてラースはその扉を開け、中に入る。
「オルガ、サリー。 話は聞こえてたでしょ? どうする?」
「ちゃんと金は確認したのか?」
「してないよ。 でも重さ的に偽装じゃないと思う」
「ふーん。 じゃあさっさと人質返しちゃえば?」
 冒険者達の前で、吸血鬼三体が話し合っている。
ラース以外の二体は椅子に座って優雅に紅茶を飲んでいる。
そして、部屋の奥で縛られて座っている金髪の少女、メイが目に入った。
「いいだろう。 サリー、人質を連れてこい」
「はいはい。 まったく、人使いが荒いんだから……」
「君は人じゃないだろ?」
 サリーがメイの元に行くために後ろを向いた瞬間、コウユウとヒナが同時に動いた。
「喰らいやがれ!」
 そして、コウユウとヒナが持っている水鉄砲から撃たれた聖水がオルガとラースの顔に掛かる。
「ぐぅっ!?」
「うわっ!? 目が……!」
「はっ! ざまぁみろ吸血鬼! まさか聖水を飛ばしてくるとは思わなかっただろ! 」
 コウユウとヒナがそのまま水鉄砲を撃ちまくっているおかげで、オルガとラースは動く事が出来ない。
その隙に他の冒険者が動く。
「えっ!? ちょっと何!?」
「邪魔よ!」
 驚いて振り向いたサリーに、ステラ・ザクセンが片手剣を振り下ろす。 だが寸前でサリーは自分の片手剣でステラ・ザクセンの片手剣を防ぐ。
「危ないわね!」
「えいっ!」
 ステラ・ザクセンの片手剣を防ぐのに集中していたサリーの背中を、夾竹 透乃が両手斧で斬りつける。
「痛ったいわね! 」
「へへへっ! 私達と戦おうよ! そっちが勝ったら金だけじゃなくて私達も手に入っちゃうよー!こっちが勝ったら…そっちは死んでるね!!」
 そう言って夾竹 透乃は口に聖水を少し入れ、そのままサリーと戦い始める。
冒険者達が吸血鬼を足止めしている隙に、空屋は人質の少女、メイの元へたどり着く。 空屋は素早くメイの縄を解く。
「ありがとう! 冒険者さん!」
「……あぁ。 【シロア】、この娘の相手を頼む」
「了解しました。 さぁ、私と一緒にこの屋敷を出ましょう」
 空屋のスレイブ、【シロア】に連れられ、メイは部屋を出て行った。
そのタイミングで、これまでずっとオルガとラースを足止めしていたコウユウとヒナの水鉄砲の中に入っている聖水が無くなった。
「貴様ら……! 絶対に許さんぞ!!」
 オルガは怒りで顔を真っ赤にし、凄まじい速度でコウユウに向かってきた。
コウユウは現在水鉄砲に聖水を入れている途中だ。
「……ヤベッ」
 オルガの剣がコウユウに当たる直前、オルガが横に飛ばされ、壁に激突した。
「オルガだったか、お前の相手は俺だ! かかってこい前髪ブーメラン!」
 オルガを飛ばしたのはジーン・ズァエールだ。 ジーン・ズァエールの武器、グレートソードには聖水が塗られており、それに斬られたオルガの腹からは血が流れてきている。
「くっ……人間が……!」
 オルガが立ち上がった時、横から夾竹 透乃が思い切りオルガに両手斧を振り下ろした。
「ぐっ!」
 オルガは咄嗟に剣で両手斧を防ぐ。
だが、夾竹 透乃はニヤッと笑い、次の瞬間。
「ぶーっ!!」
「なっ!? ぐあああっ!」
 夾竹 透乃が口に含んでいた聖水を至近距離でオルガに吹き出したのだ。
至近距離で聖水を浴びたオルガは両手で顔を抑えた。
――――――――――――――――――――
【ラースとの戦闘】
「ラースだな、お前の相手は俺達だ」
 ラースの前にはナイトエッジと空屋が立っている。
いつもは冷静なラースでも、今回は頭に血が上っている。
「人間が2人で吸血鬼の相手? 随分と舐められたものだね!」
 ラースがナイトエッジに剣を振り下ろすが、ナイトエッジは片手剣の二刀流だ。 左手の剣でラースの攻撃を防ぎ、右手の剣でラースを斬りつける。
「ふーん……なかなかやるじゃないか」
「なるほど、普通の攻撃は効かないようだな」
 たいして痛がっていないラースを見て、ナイトエッジが呟く。
「おい吸血鬼、後ろを向け」
 突如後ろから声が聞こえ、ラースはすぐに後ろを向く。
そこに居たのは、拳を握りしめた空屋だった。
空屋は握った拳でラースの顔を思い切り殴る。
「ぐっ!」
 ラースはそのまま吹き飛び、地面に倒れる。
 そして……。
「あ……ああああああぁぁぁっ!! 顔がっ熱いいいっ!」
 殴られた頬を抑えて転がり回る。
「……十字架が弱点というのは本当らしいな」
 そう言って空屋はラースを殴った拳を開く。 その手に十字架が握られていた。
「お前らは誰かの平和を脅かした、ここで死ね」
 蹲っているラースの首に、ナイトエッジは聖水を塗った片手剣を当てる。
状況を察したラースはビクッと身体を震わせる。
「や、やだっ……死にたくない! やめっ……」
「待つわけがないだろ」
 そのまま、ナイトエッジはラースの首を刎ねた。
――――――――――――――――――――
【サリーとの戦闘】
「ほらほら! いつまで避けられるかなぁ!?」
「あぁもうっ! しつこいわねっ!」
 サリーは迫り来る聖水の弾幕を必死に避けていた。
 聖水の弾幕の原因はコウユウだ。
「……確かに有効な手段なのは認めるわ。でも、ふざけてるようにしか見えないんだけど!?」
 楽しそうに聖水を撃ちまくるコウユウを見て、スレイブのヒナが思った事を口にする。
「おらおら、乱れ撃つぜぇーーー!おいヒナ!弾幕薄いぞ、何やってんだ!?」
「やっぱりアンタふざけてるでしょ!?」
 そんな言いあいをしていると、水鉄砲の中の聖水が切れた。
「ようやく無くなったみたいね! 殺してやるわ!」
 サリーがコウユウの元へ向かおうとした瞬間、サリーの背中をステラ・ザクセンが片手剣で斬りつけた。
そのせいでバランスを崩したサリーは地面に倒れる。
「っ! 邪魔するんじゃないわよ!」
「お前等の好きにはさせないわ! 【エノン】行くわよ!」
「はい! 」
 そのまま、ステラ・ザクセンとスレイブ、【エノン】とサリーの戦いが始まった。
「もうっ! いろんな方向から……! イライラするわね!」
 ステラ・ザクセンとエノンは、常に真逆に居る。 ステラ・ザクセンが右から攻撃する時は、エノンは左から攻撃する。
 それにより、確実に攻撃を加えている。
 そして、突然、サリーの顔に水が掛かった。
 次の瞬間。
「ああああっ!! 熱いっ! 熱いぃぃっ!」
 サリーが顔を抑えて叫ぶ。
 その原因のコウユウは。
「リロード完了だ。 狙い撃つぜ! ザクセン嬢、トドメは頼むぜ!」
 コウユウとヒナの攻撃により、サリーは動く事が出来ない。
 サリーの左右にいるステラ・ザクセンとエノンは、剣を振り上げる。
「人間が……! 絶対に……絶対に許さな……!」
 サリーが言い終わる前に、ステラ・ザクセンとエノンが同時に剣を振り下ろし、サリーの首が地面に落ちた。
――――――――――――――――――――
【オルガとの戦闘】
「はははっ! 楽しいねぇ!」
「っ!」
 夾竹 透乃の猛攻を、オルガは必死に剣で防いでいる。
「リリちゃん! おねがいっ!」
「はい!」
 夾竹 透乃の合図で、アマリリスが聖水が入った瓶をオルガに投げる。
 オルガに当たると、瓶が割れ、オルガは頭から聖水を浴びる。
「があああああっ!! くそっ! くそおおおっ!!」
 オルガは悲痛な叫びをあげ、その場に蹲る。
「おら、なに蹲ってんだ!」
 蹲っているオルガを、ジーン・ズァエールは思い切り蹴り上げる。
 オルガが宙に浮くと、十字架を結んでおいた拳でオルガの顔を殴る。
 オルガは壁に激突し、ジーン・ズァエールを睨む。
「殺す……殺してやる……!!」
「なんだよ、吸血鬼って雑魚だったんだな。 期待はずれだぜ。 お前もそう思うだろ? 」
 そう言ってジーン・ズァエールは夾竹 透乃を見る。
「そうだね。 もっと手応えあると思ったのになぁ……」
 2人の言葉に、オルガは顔を真っ赤にし。
「貴様ら……! 許さん、許さんぞおおぉっ!!」
 そんなオルガに、ジーン・ズァエールは懐から聖水が入った瓶を取り出し、オルガに投げる。
だが、投げた聖水はオルガの顔の上を通過した。
「ふん! 何処に投げている!」
「もう終わりだよお前」
 オルガの上を通過した聖水を、オルガの後ろにいた夾竹 透乃がしっかりとキャッチした。
「何を言っている。 終わりなのは貴様だ人間!」
「えいっ!」
 完全にジーン・ズァエールを見ていた吸血鬼に、夾竹 透乃は思い切り聖水を投げつける。
 聖水はしっかりとオルガに当たり、またオルガは聖水を浴びる。
「なっ……!?」
「もう飽きちゃった」
「あぁ、トドメだ吸血鬼。あの世に着くまで、止まるんじゃねぇぞ…… 」
 夾竹 透乃がオルガの背中を両手斧で斬りつけ、ジーン・ズァエールがオルガの胴体に剣を突き刺すと、オルガは悲鳴をあげて絶命した。
――――――――――――――――――――
【戦いの終わり】
「冒険者さん達凄いわ! 本当にあの吸血鬼を倒しちゃうなんて!」
 吸血鬼を倒し、村へと帰る途中、助けた貴族の少女、メイはずっと冒険者達に話しかけている。
「まぁ、俺にとっては吸血鬼なんて雑魚だしな」
「そうなの!? 凄いわ!」
「だろ? ははは!」
「調子に乗らないの!」
 元気に話すコウユウに、ヒナが容赦なくツッコミをいれる。
その光景を見て、メイが腹を抱えて笑う。
「メイちゃんは強い娘ですね。 自分から人質になるなんて、簡単にできる事じゃありません」
 ステラ・ザクセンがメイの頭を撫でながら言う。 だが、メイは首を横に振る。
「だって、人が殺されるのは見たくないもの。 私は当然の事をしたまでよ」
「……へぇ、貴族にもお前みたいな奴がいるんだな」
 メイを見てジーン・ズァエールが関心したように言う。
そんな会話をしていると、村にたどり着いた。
村の入り口には依頼主である貴族が立っていた。
貴族が見えた瞬間、メイは貴族の元へ走って行き、思い切り抱きついた。
「お父様っ!」
「メイっ! 無事だったか!!」
「うん! 冒険者さん達助けてくれたの!」
「冒険者様方、娘を助けていただき、本当にありがとうございます!! 」
 それから、貴族の家に招かれ、報酬を貰い、貴族の男とメイに見送られながら、冒険者達は村を出た。




依頼結果

成功


依頼相談掲示板

吸血鬼に攫われた貴族の少女を救え! 依頼相談掲示板 ( 26 )
[ 26 ] ジーン・ズァエール  ヒューマン / ウォーリア  2017-08-19 17:26:23

とりあえず俺の案でいく流れだからプランはそういう流れで書いておくぜ
シゴトに関しては、個人的には10日あるとはいえ準備ができ次第迅速にやりてえところだ。いつあいつらが心変わりするかもわからんしな  
 

[ 25 ] ナイトエッジ  ヒューマン / ウォーリア  2017-08-19 17:24:47

時間もないしそれでいいんじゃないか?後は吸血鬼の三人が揃うと厄介らしいから分断を意識して立ち回りたいね。  
 

[ 24 ] コウユウ  ヒューマン / ナイト  2017-08-19 13:05:57

俺は構わねぇが、他の皆さんはどうだ?
シナリオ内時間で猶予が10日もあり、依頼人は貴族で資金があるし、やりたいことがあるなら割と自由に出来そうだぜ  
 

[ 23 ] ステラ・ザクセン  ヒューマン / ウォーリア  2017-08-19 12:48:00

流れについては
屋敷へ行き人質交換に見せ掛ける→交渉中にコウユウさんが不意打ち→そのまま戦闘
で良いでしょうか?  
 

[ 22 ] ステラ・ザクセン  ヒューマン / ウォーリア  2017-08-19 12:44:46

身代金については……。貴族の父親が用意してくれれば手っ取り早いですが、
無理でしたら袋に石詰めて、上に硬貨詰めて見せ金にするしかないですね。  
 

[ 21 ] ステラ・ザクセン  ヒューマン / ウォーリア  2017-08-19 12:32:27

相手は光に弱いわけので、屋敷には昼間に行くことになるでしょう。
裏口から回るなりして中に入り、相手と交渉中に不意打ちをかければいけるのではないかと思います。  
 

[ 20 ] コウユウ  ヒューマン / ナイト  2017-08-19 11:52:10

今回の依頼のメインイベント、吸血鬼と戦うのは他の皆さんに任せるぜ
多分人質を捕らえてる吸血鬼は俺が聖水を使えば弱体化するだろうし、一対一でも大丈夫だろう
まぁ余裕があったら戦線に復帰するけどな  
 

[ 19 ] コウユウ  ヒューマン / ナイト  2017-08-19 11:47:35

助かります
隠れて機会をうかがって、聖水で不意討ちして助けられないかやってみるとしますかね  
 

[ 18 ] ステラ・ザクセン  ヒューマン / ウォーリア  2017-08-19 10:03:15

私としては人質も助けたいところですね。ジーンさんの案が良いように思えます。
私の聖水をコウユウさんに渡します。掛けて怯んだ隙に助けることが出来れば良いかと。  
 

[ 17 ] コウユウ  ヒューマン / ナイト  2017-08-18 23:43:22

了解、周囲は森だと思って動くとするぜ
あと聖水使わないって人がいたら使わせてもらってもいいか?  
 

[ 16 ] 夾竹 透乃  ヒューマン / ウォーリア  2017-08-18 23:39:16

ありゃ、山だったね。でもまあ自分にとって不利な場所には住まないんじゃないかな。  
 

[ 15 ] コウユウ  ヒューマン / ナイト  2017-08-18 23:19:19

ん?森の中?…あー、山の中にある館だから、周りが森の可能もあるのか
じゃあ俺はジーンさんの案に賛成で
まあ人手がないのであれば俺1人で何とか隙をついて救出を試みてみるさ  
 

[ 14 ] 夾竹 透乃  ヒューマン / ウォーリア  2017-08-18 22:39:19

場所が敵の屋敷で森の中だから多分昼でも敵の行動に支障がでることはないんじゃないかなあ?
私は吸血鬼の殲滅優先に賛成!
あとどうせならリーダーと戦いたい!  
 

[ 13 ] コウユウ  ヒューマン / ナイト  2017-08-18 22:08:58

どれを選ぶにせよ、アンタらが華々しく戦うためのお膳立ては俺がやろうか?
人間より基本能力が高い種族が相手じゃあ、盾役として中途半端な俺では大して役に立たないだろうからな  
 

[ 12 ] コウユウ  ヒューマン / ナイト  2017-08-18 21:49:31

ぶっちゃけ吸血鬼を倒すだけなら簡単だ
太陽の出てる真っ昼間に館へ放火して、焼け死ぬか、遮蔽物がなくなってモロに太陽光を浴びて消滅するかのどちらかを待てばいい訳だからな(可能かどうかは別として)  
 

[ 11 ] ジーン・ズァエール  ヒューマン / ウォーリア  2017-08-18 21:44:30

さて、プランの締切まで1日を切った。このままグダるのは俺としては避けたいから、他に意見がねえならコウユウの潜入奪還からの撃破か、ナイトの吸血鬼撃滅優先か、俺のふわっとした作戦か。どれにするか決めるか  
 

[ 10 ] ジーン・ズァエール  ヒューマン / ウォーリア  2017-08-18 21:33:24

俺としては「身代金と人質交換の場を作って、そこで奪還と戦闘をする」っていう、なんかどっかで読んだ事のある展開で行くかなとは思ってたが、先んじて動くのもアリっちゃあアリか  
 

[ 9 ] コウユウ  ヒューマン / ナイト  2017-08-18 18:16:32

依頼人が人質の両親で、かつ依頼内容が「娘を助けてほしい」だから、人質が死んでしまった時点で依頼は失敗と見た方がいいと思うぜ  
 

[ 8 ] コウユウ  ヒューマン / ナイト  2017-08-18 18:12:20

飛び入り参加失礼するぜ、ヒューマンのナイトのコウユウだ
別に救出と戦闘を同時にする必要はないんじゃないか?吸血鬼だから多分昼間は寝てるだろうし、屋敷に潜入して先に助けてから戦うとか  
 

[ 7 ] ナイトエッジ  ヒューマン / ウォーリア  2017-08-18 10:19:08

人数から考えて人質救出に人手を割く余裕はないだろう。二人一組で挑もうとしても一人足りないくらいだ、ここは吸血鬼の撃破に絞るべきだと思う。  
 

[ 6 ] ジーン・ズァエール  ヒューマン / ウォーリア  2017-08-18 09:15:43

まあ人質奪還に関しては解説を見る限り必須じゃなさそうだし、なにより吸血鬼を撃破すればそれで達成できるからそこまでこだわる必要はない気がしないでもないがな  
 

[ 5 ] ジーン・ズァエール  ヒューマン / ウォーリア  2017-08-18 09:13:38

さて、明日締切なんで今更ながら作戦相談をしてぇ。今回の目標は
・人質の奪還
・吸血鬼の撃破

の二つになるわけだ。だから吸血鬼撃破チームと人質救出チームに分けたほうがいいのかと思うがどうだ  
 

[ 4 ] ステラ・ザクセン  ヒューマン / ウォーリア  2017-08-18 01:06:00

ヒューマンでウォーリアのステラ・ザクセンです。よろしくお願いします。  
 

[ 3 ] 夾竹 透乃  ヒューマン / ウォーリア  2017-08-17 19:13:54

ヒューマンでウォーリアの夾竹透乃だよ、よろしくね!吸血鬼狩りだー!!  
 

[ 2 ] ナイトエッジ  ヒューマン / ウォーリア  2017-08-17 11:50:42

ヒューマンのウォーリア、ナイトエッジ。よろしく。  
 

[ 1 ] ジーン・ズァエール  ヒューマン / ウォーリア  2017-08-17 10:02:41

さて、気がつけば結構参加者増えてたみてぇだしそろそろ自己紹介だ

俺はヒューマンでウォーリアのジーンだ。よろしく。貴族ってのは金払いがいいから作戦は絶対成功させる
とりあえず狙うはリーダー格を考えてる